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2026.08.19

犬の角膜潰瘍(眼の傷)でエリザベスカラーは必要?|目を守るために大切な理由

「角膜潰瘍と診断されたのですが、エリザベスカラーは必要ですか? 」

「嫌がっているので、外してあげてもいいですか?」

診察中によくいただくご質問です。

結論からお伝えすると、角膜潰瘍の治療中は、基本的にエリザベスカラーの装着をおすすめします。

エリザベスカラーは、単に「目を触らせないための道具」ではありません。犬自身が目をこすって傷を悪化させることを防ぐ、大切な治療の一部です。

 

なぜエリザベスカラーが必要なの?

角膜潰瘍になると、犬は目をショボショボさせたり、前足で目をこすったりします。

しかし、角膜に傷がある状態で目をこすると、

  • 角膜の傷が深くなる
  • 傷の治りが遅くなる
  • 細菌感染を起こす
  • 角膜が溶ける「角膜融解」につながる
  • 重症例では角膜穿孔を起こす

可能性があります。

つまり、

「目が痛い → こする → 傷が悪化する → さらに痛くなる → さらにこする」

という悪循環に陥ることがあります。

そのため、点眼薬による治療だけでなく、「目をこすらせないこと」も角膜潰瘍の重要な治療になります。

 

エリザベスカラーは「目の治療器具」です

エリザベスカラーを着けると、犬は少し不自由そうに見えるかもしれません。

「かわいそうだから外してあげたい」と思われる飼い主様も多くいらっしゃいます。

しかし、角膜潰瘍の治療中や眼の手術後は、エリザベスカラーを「骨折した犬のギプスと同じようなもの」と考えてください。

骨折してギプスをしている犬が、「歩きにくそうだから」という理由でギプスを外してしまうことはないのではないでしょうか。

エリザベスカラーも同じです。

カラーそのものが角膜潰瘍を治すわけではありません。しかし、犬が自分で目をこすって傷を悪化させるのを防ぐための、大切な治療の一部となります。

「嫌がっているから外してあげる」のではなく、「今は目を治すために必要な期間だから、目を守ってあげる」と考えていただければと思います。

 

「家では目をこすっていないから、外しても大丈夫」は危険です

飼い主様から、「家では目をこすっていないので、カラーを外してもいいですか?」と聞かれることがあります。

しかし、角膜潰瘍では注意が必要です。

飼い主様が見ている時間にはこすっていなくても、

  • 留守番中
  • 夜間
  • 寝起き
  • 目の違和感が強くなったとき

などに、突然目をこすることがあります。

角膜は非常に薄い組織です。

一度の強い引っかき行動で、角膜の傷が深くなったり、治療期間が長くなったりすることがあります。

 

特に、角膜潰瘍が深い場合や、角膜融解を伴っている場合には、傷が急速に悪化することもあります。

そのため、角膜の傷が治癒するまでは、基本的にカラーを外さないことをおすすめしています。

 

エリザベスカラーを嫌がります。どうすればいい?

最初はエリザベスカラーを嫌がるわんちゃんも少なくありません。

歩きにくそうにしたり、物にぶつかったり、食べにくそうにしたりすることがあります。

しかし、多くの場合は数日すると徐々に慣れてくれます。

食事や飲水が難しい場合には、

  • 食器を持って食事や飲水を手伝ってあげる
  • カラーに合わせて食器の位置、高さを調整する

などの工夫ができます。

<写真:届きやすいように重ねてガムテープでとめています>

 

また、カラーが大きすぎる・小さすぎる、食事や飲水ができない、家具にぶつかって危険など、生活上の問題が大きい場合は、無理に我慢する必要はありません。

カラーのサイズや種類を調整することで、より快適に過ごせることがあります。

ただし、柔らかいタイプやドーナツ型のカラーでは、犬の顔の形によっては目に届いてしまうことがあります。

「カラーを着けているから大丈夫」ではなく、実際に前足や後ろ足で目に届かないかを確認することが重要です。

 

いつまでカラーが必要?

基本的には、角膜の傷が治るまで必要となります。

「○日間着ければ大丈夫」と一律には決められません。

浅い角膜潰瘍なら数日で改善することもありますが、傷が深い場合や、ドライアイ・感染症・角膜疾患などの基礎疾患がある場合には、治癒まで時間がかかることがあります。

そのため、

フルオレセイン染色で角膜の傷が消失したことを確認してから、カラーを外す

というのが基本です。

 

特にカラーを外さない方がよいケースは?

以下のような場合には、特に注意が必要です。

  • 角膜潰瘍が深い
  • 角膜融解がある
  • 犬が頻繁に目をこする
  • 強い眼痛がある
  • 角膜潰瘍を繰り返している
  • 短頭種など、目を傷つけやすい犬種

特にフレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーなどの短頭種では、目が大きく前方に出ているため、日常生活の中でも角膜を傷つけやすく、より慎重な管理が必要です。

 

まとめ

犬の角膜潰瘍では、点眼薬だけが治療ではありません。

「目をこすらせないこと」も治療の一部です。

エリザベスカラーは少し不便に見えるかもしれませんが、犬自身による引っかき傷から角膜を守り、治療を順調に進めるために重要な役割を果たします。

「嫌がるから外す」のではなく、「傷が治るまで目を守るために必要なもの」と考えてください。

角膜潰瘍と診断された場合は、自己判断でカラーを外さず、角膜の傷が治癒したことを確認してから外すようにしましょう。

「カラーを嫌がる」「食事ができない」「カラーを着けていても目をこすってしまう」など、困ったことがあれば、スタッフまでご相談ください。

 

 

 

ブルーム動物病院では、一般診療に加え、犬・猫の眼科診療に力を入れています。

福岡市早良区・西区・城南区を中心に、福岡市内および近隣地域から、ご来院いただいています。

白内障・緑内障・角膜疾患・ドライアイなど、犬・猫のさまざまな眼科疾患に対応しています。

このブログでは、飼い主様に分かりやすい情報発信を心掛け、犬・猫の眼の病気への理解を深めていただけるよう、さまざまなテーマをお届けしています。

「目が白い」「目やにが増えた」「目をショボショボする」「目が赤い」など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

ブルーム動物病院 院長・獣医師