猫の目を見ていて、「目の表面に黒い部分がある」と気づいたことはありませんか?
猫では、角膜の一部が茶色~黒色に変化する角膜黒色壊死症という病気があります。
見た目には「黒い色素がついているだけ」のように見えることがありますが、実際には角膜の組織が変性・壊死して生じる病変です。

角膜黒色壊死症はどんな病気?
角膜は、眼球の一番外側にある透明な組織です。
角膜黒色壊死症では、その一部が変性・壊死することで、茶褐色~黒色の特徴的な病変が形成されます。
特に、ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどの短頭種の猫で多くみられます。
ただし、短頭種だけに起こる病気ではなく、一般的な猫でも発症することがあります。
なぜ起こるの?
角膜黒色壊死症が起こる原因は、完全には分かっていません。
- 猫ヘルペスウイルスによる角膜炎
- 過去の角膜潰瘍
- 慢性的な角膜への刺激
- 眼瞼やまつ毛などによる摩擦
- 眼球表面の乾燥
などが関係すると考えられています。
特に、猫ヘルペスウイルス感染が背景にあるケースも少なくありません。
そのため、黒い病変だけを見るのではなく、「なぜこの病変ができたのか」という原因を探すことも重要です。
痛みはある?
角膜黒色壊死症では、痛みを伴うことがあります。
- 目をショボショボする
- 目を閉じている
- 涙が増える
- 目やにが増える
- 前足で目をこする
- 目の周囲が赤くなる
などの症状がみられます。
ただし、猫ちゃんは痛みを隠すことがあります。
「食欲もあるし、元気だから大丈夫」とは限りません。
黒い部分は「色素」ではないの?
ここは飼い主さんにぜひ知っていただきたいポイントです。
角膜に黒い部分があると、「色素沈着かな?」と思うかもしれません。
しかし、角膜黒色壊死症では、単純に色素が付着しているのではなく、角膜組織そのものに変性・壊死が起こっています。
また、病変の周囲に角膜潰瘍ができていることもあります。
そのため、見た目だけで「大丈夫」と判断することはできないのです。
どんな検査をするの?
眼科では、まず角膜の状態を詳しく観察します。
フルオレセイン染色では、角膜に傷や潰瘍がないかを確認します。
また、細隙灯顕微鏡を使うことで、病変が角膜のどの程度の深さまで及んでいるのかを詳しく評価できます。
必要に応じて、眼圧測定や涙液量の検査、結膜・眼瞼の検査なども行います。
治療は?
治療方法は、病変の大きさや深さ、痛みの程度、角膜潰瘍や感染の有無などによって変わります。
比較的軽症であれば、点眼薬や疼痛管理などを行いながら経過を観察することがあります。
一方、病変が深い場合や進行している場合、強い痛みがある場合には、角膜の病変を切除する手術が必要になることがあります。
角膜の深い部分まで病変が進行すると、角膜が薄くなり、最悪の場合には角膜穿孔を起こすこともあります。
そのため、治療では「黒い部分をなくすこと」だけではなく、角膜をできるだけ正常な状態で守ることが重要です。
黒い部分を見つけたら早めに受診を
角膜黒色壊死症は、初期には小さな茶色い斑点として始まることもあります。
「以前からあるから大丈夫」と思っていても、少しずつ病変が深くなっている場合があります。
特に、黒い部分が大きくなってきたり、目をショボショボする場合には、早めの眼科検査をおすすめします。
まとめ
猫の角膜に黒い部分がある場合、それは単なる色素沈着ではなく、角膜黒色壊死症の可能性があります。
角膜の状態や病変の深さによって治療方法は異なり、軽症では点眼などで経過をみることができますが、進行例では手術が必要になることもあります。
猫の目に「黒い変化」を見つけたら放置せずに、一度動物病院で角膜の状態を確認してもらいましょう。
ブルーム動物病院では、一般診療に加え、犬・猫の眼科診療に力を入れています。
福岡市早良区・西区・城南区を中心に、福岡市内および近隣地域から、ご来院いただいています。
白内障・緑内障・角膜疾患・ドライアイなど、犬・猫のさまざまな眼科疾患に対応しています。
このブログでは、飼い主様に分かりやすい情報発信を心掛け、犬・猫の眼の病気への理解を深めていただけるよう、さまざまなテーマをお届けしています。
「目が白い」「目やにが増えた」「目をショボショボする」「目が赤い」など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
ブルーム動物病院 院長・獣医師


