「最近、目やにが増えた」
「目が赤い」
「いつも目をショボショボしている」
わんちゃんにこのような症状がある場合、ドライアイ(乾性角結膜炎)が原因かもしれません。
ドライアイは、目の表面を保護している涙が十分に作られなくなったり、涙の質や蒸発のバランスが崩れたりすることで、角膜や結膜に炎症が起こる病気です。
涙は「目を潤すだけ」ではありません
涙には、単に目を濡らすだけではなく、
- 角膜を乾燥から守る
- 角膜に栄養を届ける
- 目の表面についた異物を洗い流す
- 細菌などから目を守る
- 角膜表面を滑らかに保つ
といった重要な役割があります。
そのため、涙が少なくなると目の表面にさまざまな問題が起こります。

【写真:ドライアイの犬の眼。ドライアイでは、目やに・結膜の赤み・角膜の濁りなどがみられることがあります】
どんな症状がみられる?
ドライアイでは、次のような症状がよくみられます。
- 粘り気のある目やにが増える
- 目が赤い
- 目をショボショボする
- 目をこする
- 目を開けにくそうにする
特に特徴的なのが、黄色~黄緑色で粘り気のある目やにです。
なぜドライアイになるの?
犬のドライアイにはさまざまな原因があります。
最も多いのは、涙を作る涙腺に対する免疫介在性の炎症と考えられているタイプです。
その他にも、薬剤、神経の異常、眼の手術や外傷、感染症などが原因となることがあります。また、加齢に伴って涙液産生が低下することもあります。
また、パグ、シーズー、フレンチ・ブルドッグ、アメリカン・コッカー・スパニエルなど、犬種によって発症しやすい傾向があります。
どうやって診断するの?
ドライアイの診断では、まず目の状態を詳しく観察します。
そのうえで重要なのが、シルマーティアテストです。
これは専用の細い試験紙をまぶたの内側に入れて、一定時間にどのくらい涙が作られるかを測定する検査です。
短時間ででき、基本的に大きな負担のない検査です。

【写真:シルマーティアテストでは涙の量を測定します】
さらに、フルオレセイン染色によって角膜の傷や潰瘍の有無を確認したり、細隙灯顕微鏡で角膜・結膜の状態を詳しく観察したりします。
放置するとどうなる?
ドライアイは、「目やにが増えるだけの病気」と思われることがあります。
しかし、治療せずに進行すると、角膜に慢性的な炎症が起こります。
その結果、角膜潰瘍、角膜の混濁、角膜への色素沈着などが起こることがあります。
特に角膜への色素沈着が進行すると、角膜が黒っぽく見えるようになり、病変が重度になると視覚に影響することもあります。
また、角膜潰瘍が深くなれば、痛みが強くなったり、重症例では角膜穿孔につながったりする可能性もあります。

【写真:ドライアイが長期間続くと、角膜に色素が沈着することがあります】
治療は一生必要?
ドライアイの多くは、継続的な治療が必要になる慢性疾患です。
治療では、涙の分泌を促す点眼薬や、涙の不足を補う人工涙液、角膜を保護する点眼薬などを状態に応じて使用します。
また、角膜潰瘍や細菌感染などを伴っている場合には、それらに対する治療も必要になります。
症状が良くなったからといって自己判断で点眼を中止すると、再び悪化することがあります。
そのため、定期的に涙の量や角膜の状態を確認しながら、その子に合った治療を続けていくことが大切です。
「目やにが多いだけ」と思わないで
ドライアイは、早期には「目やにが増えた」という程度にしか見えないことがあります。
しかし、放置すると角膜に大きなダメージを与える可能性があります。
特に、
ベトベトした目やにが慢性的に多い
目が赤い
目をショボショボする
角膜が濁ってきた
という症状が続いている場合には、一度涙の量を測定してみることをおすすめします。
まとめ
犬のドライアイ(乾性角結膜炎)は、涙の不足などによって角膜や結膜に炎症が起こる病気です。放置すると角膜潰瘍や色素沈着につながります。
「目やにが多いだけ」と思っていた症状が、実はドライアイのサインかもしれません。
気になる症状が続く場合には、早めに目の状態を確認してあげましょう。
ブルーム動物病院では、一般診療に加え、犬・猫の眼科診療に力を入れています。
福岡市早良区・西区・城南区を中心に、福岡市内および近隣地域から、ご来院いただいています。
白内障・緑内障・角膜疾患・ドライアイなど、犬・猫のさまざまな眼科疾患に対応しています。
このブログでは、飼い主様に分かりやすい情報発信を心掛け、犬・猫の眼の病気への理解を深めていただけるよう、さまざまなテーマをお届けしています。
「目が白い」「目やにが増えた」「目をショボショボする」「目が赤い」など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
ブルーム動物病院 院長・獣医師


