こんにちは!院長の上枡です。
先日の日曜日スタッフとともに日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)に参加してきました。
今年も多くの獣医師や動物看護師が集まり、最新の獣医学情報や臨床現場での実践的な知識を共有する貴重な機会となりました。
臨時休診のため皆様にはご迷惑をおかけいたしました。お時間いただきありがとうございます。
今回、呼吸器セッションという形で、救急、画像診断、麻酔の専門の先生方からご講演をいただきました。
なかでも肺水腫は心臓病や急性の炎症で発生し、迅速な対応が求められる疾患です。講義では、酸素療法・利尿剤・強心剤・血管拡張薬などの適切な使用について学び、特に酸素供給の重要性を再認識しました。また、超音波検査を活用した早期診断のポイントも紹介され、実践に役立つ内容でした。
その他には、甲状腺機能低下症、猫のヘルペスウイルス眼疾患についての講義もあり、充実したものとなりました。
犬の甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足により元気消失、体重の増加、脱毛などの症状を引き起こす病気です。診断は血液検査(T4、FT4、TSHなどの測定)、超音波(エコー)検査、症状をふまえて総合的に行います。最も診断されることの多い内分泌疾患であり、なんと誤診の一番多い内分泌疾患です。治療は甲状腺ホルモンを内服薬で補充することが有効です。気になることがあればご連絡ください。
ネコヘルペスウイルス眼疾患は、特に結膜炎や角膜びらん・潰瘍を引き起こします。感染初期は涙がふえたり、結膜充血、目やにがみられ、重症化すると角膜びらん(角膜の傷)を伴うこともあります。いわゆる猫カゼのウイルスで、くしゃみ・鼻水がでる子もいます
角膜黒色壊死症という病気との密接な関連もあります。黒色壊死症とは、角膜が持続的な刺激を受けることで、角膜の真ん中や周辺部に黒い病変が形成されます。これはペルシャやヒマラヤンなどの短頭種でよく認められます。ひどくなると痛みを伴い、手術が必要な子もいます。
猫ヘルペスウイルスは感染すると、神経節に潜伏し、持続感染となり、生涯体から出ていくことはありません。うまく付き合うにはストレス管理が重要で、慢性化や再発を防ぐためにリジンの投与もおすすめされます。当院では目の手術にも対応しておりますので、お困りの際はご相談ください。
学会は新しい知識を得るだけでなく、同じ志を持つ仲間と交流できる場でもあります。今回学んだことを活かし、より良い獣医療を提供できるよう努めていきたいと思います!