こんにちは。梅雨の中休みでお天気が良いことは嬉しいのですが…暑いです!
皆さん、特に短頭種の子、気道が弱い子(気管虚脱など)は熱中症にお気をつけください!
前回は下痢でしたので、今日は嘔吐に関してお話ししようと思います。
わんちゃんやねこちゃんが突然嘔吐すると、ご家族の皆さんは驚かれると思います。
嘔吐には軽度な胃腸トラブルもあれば、命に関わる異物誤食などの重大な原因が潜んでいることも。
今日は嘔吐の原因や受診の目安、特に誤食(異物誤飲)に焦点を当てて解説しますね。
※当院では内視鏡検査・異物除去が可能な体制を整えております。
ここで一つ問題です。
Q.あらら、うちの子が吐いちゃったー!ってときに2種類の吐き方があります。
ご存じでしょうか?
A.「嘔吐」と「吐出」です。
嘔吐と吐出の違い
・嘔吐:「胃」の内容物を吐く。前兆(よだれ、嘔気、動き回る)が見られることがあります
・吐出:「食道」からの逆流で、突然、未消化のフードがでます
それぞれ疑われる病変部(病気になっている場所)が違うので必要な検査が異なります。
吐き方がヒントになるのでよく見ておいて病院で教えてください!
嘔吐の主な原因です!
<犬で多い嘔吐の原因>
・食べすぎ、早食い
・草や異物(おもちゃ、布、骨など)誤食
・急性胃腸炎、膵炎
・胃拡張・胃捻転(大型犬では要注意)
・腎不全・肝疾患など
<猫で多い嘔吐の原因>
・毛玉の排出(毛球症)
・食道炎・胃炎
・腎臓病・膵炎・慢性胃腸炎(消化器型リンパ腫など)
・異物の誤食(紐、おもちゃ)
特に注意すべき「誤食」による嘔吐
犬や猫は、好奇心からおもちゃ・衣類・ビニール・糸・骨・植物などを誤って食べてしまうことがあります。
特に以下のようなものは危険です!
・トウモロコシの芯
・鶏の骨(鋭利で穿孔の危険)
・紐類(腸に絡まり壊死)
・石・金属類
★当院の対応★
当院では内視鏡による異物確認・除去が可能です。
開腹手術を避けたいケースや、胃内に留まっている場合は内視鏡での除去が有効です。
※飲み込んでからの時間が短いほど成功率が高くなります。
その他、お薬によって吐かせる処置、胃・腸切開などの外科処置にも対応しております。
「以下のような症状がある場合はすぐに動物病院へご相談ください」
・何度も吐く、ぐったりしている
・血が混じっている(赤・黒)
・異物を食べた可能性がある(目撃含む)
・食欲がない
・下痢・発熱・痛がる様子を伴う
ご自宅での対応・注意点
・吐いたものを写真に撮っておく(病院受診時に持っていく)
・元気や食欲、便の様子をメモ
・自己判断での絶食・絶水、市販薬の投薬は行わない
犬や猫の嘔吐はよくある症状ですが、放置すると重篤な病気のサインを見逃すこともあります。
個人的には下痢よりも嘔吐の方がより深刻な病態であることが多いと思います!
シニア期の子では、単純な胃腸炎以外の病気であることも少なくありません。
様子見で済ませず、心配なことがあればご相談してくださいね。